Dartの世界へようこそ!Flutterのようなフレームワークで素晴らしいアプリを開発したり、強力なコマンドラインツールを作成したりする前に、まずは開発環境を整える必要があります。このガイドでは、Dart SDKのインストールから、最初のネイティブ実行可能ファイルのコンパイルまで、全プロセスをステップバイステップで解説します。さあ、始めましょう!
ステップ1:Dart SDKのインストール
Dart SDK(Software Development Kit)は、Dartアプリケーションを開発するために不可欠なツールの集合体です。コンパイラ、ランタイム、パッケージマネージャー(pub)、主要なライブラリなどが含まれています。お使いのシステムにインストールする方法を見ていきましょう。
1.1. Dart SDKのダウンロードとインストール
Dart SDKの推奨インストール方法は、お使いのオペレーティングシステムによって異なります。直接ダウンロードするか、一般的なパッケージマネージャーを使用するのが便利です。
Windowsの場合 (Chocolateyを使用)
パッケージマネージャー Chocolatey を使用している場合、ターミナルで次のコマンドを一度実行するだけでインストールできます。
choco install dart-sdk
macOSの場合 (Homebrewを使用)
パッケージマネージャー Homebrew を使用している場合は、次のコマンドを実行します。
brew tap dart-lang/dart
brew install dart
手動インストール (すべてのプラットフォーム)
Dart公式サイトからSDKをZIPファイルとしてダウンロードすることもできます。ダウンロード後、`dart-sdk`フォルダを任意の場所に展開します。一般的には、WindowsならC:\tools\dart-sdk
、macOSやLinuxなら~/dev/dart-sdk
のような場所が使われます。
1.2. 環境変数(PATH)の設定
どのターミナルウィンドウからでもdart
やpub
といったコマンドを実行できるようにするには、Dart SDKの`bin`ディレクトリをシステムのPATH環境変数に追加する必要があります。これにより、システムがDartの実行ファイルを見つけられるようになります。
Windowsの場合:
- スタートメニューの検索バーに「env」と入力し、「システム環境変数の編集」を選択します。
- 「環境変数...」ボタンをクリックします。
- 「ユーザー環境変数」セクションで`Path`変数を見つけ、「編集...」をクリックします。
- 「新規」をクリックし、展開した`dart-sdk`フォルダ内の`bin`フォルダへのフルパス(例:
C:\tools\dart-sdk\bin
)を追加します。 - すべてのウィンドウで「OK」をクリックして変更を保存します。変更を有効にするには、ターミナルの再起動が必要な場合があります。
macOS & Linuxの場合:
お使いのシェルの設定ファイル(例:~/.zshrc
, ~/.bash_profile
, ~/.bashrc
)に以下の行を追加します。[PATH_TO_DART_SDK]
の部分は、SDKを展開した実際のパスに置き換えてください。
export PATH="$PATH:[PATH_TO_DART_SDK]/bin"
その後、source ~/.zshrc
(または対応する設定ファイル)を実行するか、ターミナルを再起動します。
1.3. インストールの確認
新しいターミナルを開き、次のコマンドを実行してDartが正しくインストールされたか確認します。
dart --version
インストールが成功していれば、インストールされたDart SDKのバージョンが画面に表示されます。
ステップ2:最初のDartプロジェクトを作成する
SDKがインストールできたら、新しいDartプロジェクトを作成する準備は完了です。`dart create`コマンドは、開発をすぐに始められるように、シンプルで構造化されたアプリケーションのテンプレートを生成します。
2.1. テンプレートからプロジェクトを作成する
ターミナルを開き、プロジェクトを作成したいディレクトリに移動して、次のコマンドを実行します。
dart create my_first_app
このコマンドは、`my_first_app`という名前の新しいディレクトリを作成し、その中にシンプルなコマンドラインアプリケーションを生成します。`my_first_app`の部分は好きなプロジェクト名に変更できます。
2.2. Dartプロジェクトの構造を理解する
生成されたプロジェクトは標準的な構成になっています。主要なファイルとディレクトリの役割を見てみましょう。
my_first_app/
├── .dart_tool/
├── .gitignore
├── analysis_options.yaml
├── CHANGELOG.md
├── lib/
│ └── my_first_app.dart
├── bin/
│ └── my_first_app.dart
├── pubspec.yaml
├── pubspec.lock
└── README.md
pubspec.yaml
: 最も重要なファイルです。プロジェクトのメタデータ(名前、説明、バージョン)を定義し、外部パッケージへの依存関係を管理します。いわばプロジェクトの「設計図」です。bin/
: 実行可能アプリケーションのメインエントリーポイント(入口)が含まれます。直接実行されることを想定したコードが置かれます。lib/
: プロジェクトの公開・非公開ライブラリコードが含まれます。アプリケーションのロジックの大部分はここに記述します。pubspec.lock
: プロジェクトの全依存関係の正確なバージョンを記録する自動生成ファイルです。このファイルは手動で編集すべきではありません。analysis_options.yaml
: Dartアナライザー(静的解析ツール)の設定ファイルです。ここでカスタムのコーディングルールを定義し、コードスタイルを統一したり潜在的なエラーを検出したりできます。.dart_tool/
: Dartツールが生成したファイルを保存する隠しディレクトリです。パッケージ名をディスク上の場所に対応付けるpackage_config.json
ファイルなどが含まれます。
ステップ3:Dartアプリケーションの実行
コンパイルする前に、Dart VM(仮想マシン)を使ってDartコードを直接実行できます。これはJIT(Just-In-Time)コンパイラを使用するため、開発サイクルを高速に回すのに非常に便利です。
3.1. 「Hello World」コード
テンプレートによって作成された`bin/my_first_app.dart`ファイルには、シンプルな「Hello World」プログラムが含まれています。以下のようなコードです。
import 'package:my_first_app/my_first_app.dart' as my_first_app;
void main(List arguments) {
print('Hello world: ${my_first_app.calculate()}!');
}
3.2. スクリプトを実行する
アプリケーションを実行するには、プロジェクトディレクトリに移動し(`cd my_first_app`)、`dart run`コマンドを使用します。
dart run
このコマンドは`bin/`ディレクトリ内のメインエントリーポイントを見つけて実行します。ターミナルに`Hello world: 42!`という出力が表示されるはずです。
ステップ4:ネイティブ実行ファイルへのコンパイル
アプリケーションを配布する準備ができたら、スタンドアロンのネイティブ実行可能ファイルにコンパイルできます。このプロセスはAOT(Ahead-Of-Time)コンパイルとして知られ、Dart SDKがインストールされていない他のマシンでも実行できる、高速で自己完結したファイルを生成します。
4.1. Dartファイルをコンパイルする
アプリケーションをコンパイルするには、`dart compile`コマンドと`exe`サブコマンドを使用します。プロジェクトのルートディレクトリにいることを確認してください。
dart compile exe bin/my_first_app.dart
このコマンドはコードをコンパイルし、`bin/`ディレクトリ内に実行可能ファイルを生成します。出力ファイル名は、Windowsでは`my_first_app.exe`、macOSやLinuxでは`my_first_app`となります。
4.2. コンパイルされた実行可能ファイルを実行する
これで、コンパイルされたファイルをターミナルから直接実行できます。コマンドはOSによって少し異なります。
Windowsの場合:
.\bin\my_first_app.exe
macOSまたはLinuxの場合:
./bin/my_first_app
このコマンドを実行すると、コンパイルされたアプリケーションが起動し、先ほどと同じ「Hello world」の出力が表示されます。おめでとうございます!これでDartアプリケーションのインストール、作成、実行、そしてコンパイルまでをマスターしました!
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